理論的なことは僕には分からないんですが、でも本当に、僕はこの作品が大好きです。
ステータスとか、細かいシステムとか、そういったモノは一切なくて、主人公が出逢った少女と手を繋ぎ、城を脱出するというゲームなんですが、僕は最初、
『何の約束も、宣誓もしていないし、そもそも言葉が通じないのに、イコはどうして当たり前のようにヨルダの手を引いて、ヨルダはイコを信じてついてきてくれるんだろう?』という疑問を抱えていました。けれど、例え言葉が通じなくても、
例え理由なんかなくても、
誰かを信じることも、何かを誓うことも、誰かを護ることも、何かを守り抜くことも、
そして手を繋ぐことも出来るんだってことを、僕は二人に教えてもらった気がします。
言葉も事情も分からないのに、イコはヨルダに何も言わず手を差し伸べるし、
自分を本当に助けてくれるかどうかも分からないのに、ヨルダはイコが差し伸べた手を信じ、時にはとても一人では渡れないような、切り立った崖を跳躍します。
そして二人は手を繋ぎ、また歩き始めます。
そんな二人を見て、僕は初めて、四年前にテレビのコマーシャルで流れていた、
《この人の手を離さない。僕の魂ごと、離してしまう気がするから》
という言葉の意味を知ることができたような気がしました。
このゲームをプレイしているとき、僕は確かに霧に包まれた城の中にいて、白くて細い手を引いて、黒く恐ろしい(でも悲しい)影たちに立ち向かい、美しくも儚い、閉ざされた世界から脱出しよう、少女を出してあげようと、頑なに走り続けました。
ラストでは、涙も出ないくらいに、切なくなりました。
強烈な刺激を求める方には向いてないのかもしれませんが、それでも、一度はプレイしてみてはいかがでしょうか?
僕は今でも、二月に一度くらいのペースで初めからプレイして、心を綺麗にしてもらっています。
この作品の中の、何もかもが、僕は本当に大好きです。
この作品に出会えたことに感謝しています。
以上です。
参考にならないレビューでごめんなさい……。
(キルノ 2005年05月27日) from Amazon Review