本作のレビュー欄は富士見ミステリー文庫版と同一にされていますが、
このレビューは角川文庫版に関してです。

以前のレビューで「絵は素晴らしい」などといった身も蓋もない評価が見られますが、
角川文庫版には本作を本作たらしめていた、その美麗な「武田日向の挿絵」が一切ありません。
また、軽妙で爆笑ものの「あとがき」もカットされています。そう、金ブラとか。

あの桜庭一樹が少年少女向け小説を書いていたなんて知らなかった、と驚く方々。
漫画みたいな絵なんかついている子供っぽい「ライトノベル」とかではなく、
ちゃんとした「小説」が読みたいという方々。

基本的にあなた方に向いた小説ではありません。

断言しますが、これはライトノベルです。
可愛らしい表紙に惹かれて、ライトなミステリーものに手を出してみようかと思うような、
中高生向けのシリーズです。
実際ミステリーとしては大したものではなく、キャラクター小説としての比重が非常に大きい作品と言えます。
間違っても「直木賞作家が昔書いたものだから」と期待すると肩透かしを食らいます。

そんなシリーズから大きな財産である挿絵をカットしたのは、個人的には馬鹿げているとしか思えません。
キャラ造形は秀逸ながら本編は物足りない、しかし挿絵とあとがきで値段分以上に満足した…というのが、
富士見ミステリー文庫版の私の感想でした。

その重要な半身を失ったこの角川文庫版に、高い評価を与えることはできません。


願わくば、挿絵付きの7、8巻を拝めますように。
(ykm 2011年01月21日) from Amazon Review

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