巧みなストーリー展開はアニメでも十分楽しめますが、「毒を含んだ独特の作風」と、「やりこみ要素」が最大の違いです。良くも悪くも冨樫氏らしさが存分に発揮されていて、それが長所でもあり短所でもあります。

 まず作風ですが、後期の幽白やHXHのような、典型的な勧善懲悪が成り立たない独特の世界観に加え、本作ではエログロナンセンスもたっぷり詰め込まれています。とても絵は上手で、背景に至るまで緻密に書き込まれていますが、それが鳥肌が立つほど気持ち悪い絵だと「頼むから本気出すな」といいたくなります。全く嬉しくないエロも満載です。
 セリフ選びも抜きんでています。幽白の「『キャベツ畑』や『コウノトリ』を信じている可愛い女の子に無修正のポルノをつきつける時を想像するような下卑た快感さ」というセリフがよく冨樫氏のセンスを表していると思います。非常にファンには魅力的でたまらない部分なのですが、公序良俗に反していたり、あくが強すぎて嫌悪する人もいるでしょう。
 アニメ版は、相手を選ばず広く浅く楽しまれる必要があります。そのためキャラクターの印象が少し変わっていたり、かなりのシーンやセリフがカットされたり、オリジナル要素が挿入されています。原作ファンからは残念がる声が多いですが、毒気が抜かれた点に関しては、却って楽しめている視聴者もいるのでは。
 また、コマ割を含めた迫力満点の表現や、少年漫画では反則ともいえる「一面びっしり文字で埋め尽くし」は私の大好きな部分ですが、アニメでは再現しようがありません。

 次にやりこみ(読み込み?)要素ですが、アニメもかなり頑張っていますがやはり勝てません。ゲームと同じく、考察サイトでさっさと攻略するもよし、自分一人で読みこむもよし。わからなくても十分楽しめるように作ってますが、好きな人にはたまりません。如月ナイン編はじっくり読むと、きちんと答えのでるなぞ解きになっています。また、連載当時は意味がわからなかったネタが何年もたってようやく理解でき、動揺したりしました。... 続きを読む
(tkc 2011年02月19日) from Amazon Review

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