HPもレベルもなく、余計なBGMすらない異色の脱出アドベンチャーです。

主人公が持っている確かなものは、握りしめた少女のか細い手と、何があってもこの少女を守り抜くという想い。そして襲い来る影から少女を守るための棒切れがひとつ。

静まり返った霧の城で、聞こえてくるのは耳が痛くなるような静寂、高い城壁に吹き荒ぶ風の音、流れ落ちる水の音、風車の立てる軋み、小鳥の囀り。そして手をつないで走る二人の息遣い。

少女は封印された扉を開ける事以外は徹底して無力なので、最初のうちは手をつないで移動することすらが面倒で、遠くからただ少女を呼び寄せるだけでした。

でも物語を進めるにつれて何故か少女と手をつないでいない事がどんどん不安になっていきます。
言葉の通じない不思議な少女は、手を離して放っておくと色々な行動をします。少年を心配して息を呑んだり、めずらしそうに小鳥を追いかけたり、進むべき道をそれとなく示してくれたり。

そして差し伸べた少年の手を信じて、切り立った崖すら飛び越えようとしてくれる少女を見ているうちに、いつしかプレーヤー自身が少年にシンクロしてしまうのでしょう。

謎解きがメインなので一度解ってしまえば二週目からは迷う事もなくなります。

普通なら何度もやろうとは思わないゲームなのですが、ふとした拍子に『もう一度あの感覚を味わいたい』と手にしてしまうゲームです。
あくまで雰囲気や、あの切ない感情を楽しむゲームなので、刺激を求める方には向いてないかもしれません。
でも、たまにはこんなゲームに浸ってみるのは如何でしょうか?

やっているうちに、きっとあの言葉の意味も解ってくるはず。

この人の手を離さない。僕の魂ごと離してしまう気がするから。
(極楽蜻蛉 2004年09月04日) from Amazon Review

この口コミ&評価は参考になりましたか?はい いいえ
173人中、89人の方が「この口コミ&評価が参考になった」と投稿しています。