劇場版は上映時間が短く、カットは多いしCG連発で残念な描写があったりで一ファンとして辛いものがあった。一番応えたのは声優陣の一新だった。本当にそれを踏まえると97年版のこのアニメは親切丁寧な作りで作品の壮大な世界を上手く表現しベルセルクの本来あるべき姿・形を描き出した最高傑作だった。黒ガッツから始まり〜黄金時代となぜ、ガッツが復讐者になったのか?という経緯が順序よく展開され見る者に分かりやすく理解させてくれる。そして何と言っても間を大事にしてる。劇場版はテンポが早過ぎてゾッド戦や他のエピソードも重厚さに欠ける軽い話しに終始したが、こちらは声優陣の緊迫感ある演技と相まって、とにかく物語全体が締まっている。

絵も静止画のシーンがあるとは言えCG何か使わずとも十分なほど完成度が高い。昔のセル画で描いた方が今のPC処理の深みのない画質よりも親近感というか作品が活き活きとしてキャラが更に魅力的に見えてくる。本当にこれを作品愛と言わず何と言うのだろうか?窪岡監督初めベルセルクサーガ製作陣も確かによくやってるとは思うが時間や予算の制約で作品の尺を削りCGの新時代と題して新しい試みをするのは決して悪い事ではないと思う。しかし、黄金時代編が終わってそれ以降の断罪編か黒い剣士編から作るのかは分からないがOVAなどで今後はやるべきだと強く言いたい。

正直、映画で収まる枠ではそもそもないエピソードであり黄金時代編はこのアニメ版の完成度の高さを見てもやり尽くした感があるし要は静止画で描ききれなかった部分の補足として劇場版は楽しませてもらった形だった。これからは、出来れば今後のCGは早い動きや戦闘シーンのみに使い、それ以外は手書きでしっかりカットせず愚直なくらい忠実に製作して欲しいと強く熱望したい。本当にこの97年版はレベルが高く、はっきり言ってしまえば蝕以降もこのバップ製作陣でずっと作り続けて欲しかった・・・声優陣もこのままでやってたら本当に何も言う事はなかっただけに、最高のスタッフ陣を手放したサーガプロジェクトサイドの判断はある意味、大罪に近い行為をしたのかもしれない。
(セミ丸 2012年06月03日) from Amazon Review

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