驚きました。
ここのレビューの評価の、全般的な低さに、です。
僕の中では、フルバと全く対等か、
思い入れという意味では、それ以上です。

主要登場人物には、みな心の屈折があり、
それが、それはそれは繊細に描かれています。
何度も繰り返して読みましたが、飽きません。
ここまで心を解剖してしまう作者の力量に
もうひたすら感服します。

ただ、、、人によっては、ですが、
確かに、あまり分かりやすくはないかもしれません。
こう言ってしまうと傲慢に響いてしまうかもしれませんが、
読み手を選ぶ本かもしれません。
この良さがわからない、ということは、
ある意味では、幸せなことなのかも知れない。
逆に、不幸な人、
フルバと同様、子供から大人になっていく過程で、
秘かに心に傷を負ったような人にとっては、
大きな救いの力を秘めた、掛け替えのない宝物、
あるいは特効薬になりうる本だと思います。
少なくとも、「ああ、自分だけじゃなかったんだ」と
何度も心の中で叫ぶことになるでしょう。

もっとも、それだけ書いてしまうと、
「暗い」「重い」「つらい」一辺倒に見えるかもしれませんが、
さに、あらず。
実は、随所にとてもスパイスの効いた、いわゆる「ツッコミ」が入ってて、
笑える、という意味でも、すごく笑えます。
どんだけ意地悪いんだ、この作者は、という一面の真実。(笑)

要するに、いろいろな意味で、ハイレベルな作品、
簡単に言えば、「大人の漫画」です。
一度読んで、つまらないと思った若い人には、
「それはそれでいい。
 今は楽しく生きてなさい、
 何年か経って、人生に辛さを感じたとき、読み返してごらんよ」
と言ってあげたい。
きっと、うろこと一緒に目から落ちるものがあるはずですよ。。。

(本レビューは、1巻のところに書いてますが、作品全体を対象としたものです)
(有容赦(ありようしゃ) 2012年07月06日) from Amazon Review

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