男の娘ブームの先駆けとなった、乙女はお姉さまに恋してるの続編です。

まずシナリオについてですが、序盤は各所を緻密に描いており、注釈にも力が入っています。
しかしそれに対し、終盤に近づくにつれて描かれる場面が割愛されていき、早足な印象を受けました。
特にその印象が強かったのは初音、史の話あたりでしょうか。

舞台がお嬢様の集う女学院であることもあり、独特な雰囲気を持つこのシリーズ。
学院生活を主軸に置いているため度肝を抜くような展開は望めませんが、盛り上がる場面は多々ありました。

ただ惜しいのは、世界観が閉鎖的で、物語の広がりに欠けるところです。
街中へ出るシーンはあるのだから、学院外の社会人や他校の生徒を話に絡ませれば、有名なお嬢様学校であるという設定や、各々の生い立ちがより引き立ち、物語の幅も広がると思うのですが。
絡ませないのはやはり製作者のこだわりなのでしょうか。
御門千早として各キャラの親と向き合う場面は増やして欲しかった。

前作キャラが表立って登場しなかったのは残念。
出し惜しみ感はありますが、次作以降に差し込むのを考えてのことでしょう。

個別の話に入る頃には、千早の女装が大抵バレてしまっているのも残念と言えば残念。
あるキャラの反応が楽しみだったのですが…。

最後、細やかなことながら描写について。
三人称の感情描写についてなのですが、例えば聖と茉清の会話。
一連の流れで場面を切り替えずに聖と茉清両方の内心が描かれている点です。

主語、述語、目的語は はっきりとしているので内容は理解出来ます。
しかしこうも唐突に三人称の中で焦点を当てる人物を切り替えられては、臨場感が途切れてしまいます。
内心を描くのは聖、あるいは茉清どちらかに絞り、もう片方は内心を描く方から見た、客観的な仕草を描写してもらえれば、淡々とした印象を拭えたのではと思いました。
(モーショボー 2011年05月06日) from Amazon Review

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