『沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ一 (角川文庫)』です。今まで幾度か新書化などされているようですが、角川文庫版で読みました。全四巻の内の第一巻。執筆に17年かけたという著者畢生の大作シリーズだということです。
タイトル通り、密教を盗みに来た空海が、唐を舞台に活躍する歴史伝奇バトル、といったところです。怪力乱神を語らず、のはずですが、呪術を駆使してのバトルです。

台詞は短めの問答が多く、改行の多いスピード感のある文章は夢枕節といったところです。主人公空海の超人的活躍が、相棒というかワトソン役の橘逸勢とのかけあいを通じて紡がれて行く感じです。
中国歴史物ということで、専門用語や難しい漢字なども出てきますが、店舗が良いので読みやすいです。厚みのある本ですが、かなり早く読めます。

参考文献に書いてあることを噛み砕き無しでほぼ丸まんま書き写しただけの描写(『大都長安』の冒頭)とか、キャラが発言の中で存命の皇帝のことを徳宗などと廟号で呼んでいたりする部分が気になる人もいるかもしれませんが、欠点としてカウントするポイントではないと感じました。
第一巻は、物語的にはまだまだこれからといったところですが、評価は★5です。
(ミーミルの泉 2012年08月31日) from Amazon Review

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