「猛射つ」・・・シリーズ最後(?)を飾るにふさわしい傑作。作者はあるインタビューで「僕にとって湯川は憧れた生き方のひとつ」と語っているが、おそらくその想いが込められた一作。教え子を信じぬける心、科学者・教育者として責任を取ろうとする覚悟とそのためにとった驚くべき行動・・・湯川の信念に基づく変人ぶりに胸を打たれます。当初は浮世離れしたただの偏屈学者だった湯川先生がシリーズ14年の歳月を経てここまで化けるとは。
草薙も刑事として優秀さを増しています。一時期ぎくしゃくしていた湯川との友人としての気の置けないやりとりの復活がほほえましいと同時に、互いの職業柄からの緊張関係がまた絶妙。そこに女性の薫がからむことでシリーズの物語としての幅がぐっと増した感があります。それが際立つのも「猛射つ」。
「透視す」「曲球る」「念波る」・・・科学者・湯川が被害者の思いを読み解く、被害者遺族を救う。湯川の推理が事件解決に直接寄与するという単純なパターンじゃないところがユニークですが、「猛射つ」と比べるとどうしても見劣りしてしまうため、☆ひとつ減。
おそらくこれでシリーズはひとまず完結なのでしょうが、作者のネタが再びたまるまでの小休止であってほしい。復活する時は湯川教授で是非。
(franchise 2012年10月13日) from Amazon Review

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