12巻目になってようやく本来のメインテーマ、「酒造り」に戻ってくれたけど、そこに至るまでのドタバタ右往左往が長すぎて物語の方向性がわけ分からなくなっているのは自分だけではないと思う。
糀屋の跡取りを宿命付けられた、菌が見える主人公の成長と農学部の中での悪戦苦闘をからめたドラマっていうのが、当初自分が持っていた、この漫画に対するイメージだった。
その過程で発酵学や菌類に関するうんちくが語られているんだろうなあと漠然ながら感心して読んでいた。
ところが途中から、酒造りや菌たちとはほとんど無関係といっても良いエピソードが延々と続き、やれヨーロッパだやれアメリカだと舞台がころころ変わり、やっと日本に舞台が戻ったぞと思っていたら、本筋とはやっぱり無縁(としか自分には思えなかった)なミス農大選抜といったエピソードがウダウダ続いて、これ以上本筋から外れまくるのならもう読むのは止めようとまで思っていた。
少なくとも、最近の数冊の内容は主人公の「菌が見える不思議なチカラ」とはほとんど関係ないだろう。

出来る限りのテーマを作品に盛り込みたいという作者の想いは理解出来るし、そのための努力も賞賛する。
ただ、あまりにゴチャゴチャとしすぎてしまい、「もやしもんってどんな漫画だったんだっけ?」というのがさっぱり分からなくなってしまっていたのだ。
どことなくオカルトチックな農大(ナンなんだあの覆面集団は)におけるドタバタコメディーなのか、それとも登場人物の心情を掘り下げた人間ドラマ(恋愛モノじゃないよね)なのか、読んでいるうちに発酵や菌類についての知識がタップリ身につく学習教育マンガなのか、もう何がナンやら、、、。

このマンガ、多分恐らく沢木の大学卒業で完結するんだろうと勝手に思っているけれど、その時にどんな話が展開されているのか、人間関係がどのようにフィナーレを迎えるのか、全く見当がつかない。
それはそれで楽しみに取っておけるからいいんだけど、それまでの間に迷走を続けるのはもうこれ以上はご勘弁である。
(ns8915 2013年04月18日) from Amazon Review

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