森見作品は、個人的にはかなり好きな部類に入る。なんだか暖かくて、思いやりが感じられるからである。「ほっ」とするのだ。
このままじゃあずっといられないのは分かってたけど、でもずっと変わらずにいたかった大学生活を思い出す。
懐かしくて切なくて、、暖かくて優しくて、、きどった文学小説なんかよりも、僕はずっと好きだ。

けれども、これはあまりいただけないな、って思ってしまう。良く、話を練って作ったのだろうか。何だか感情移入ができない。それとも、その理由は、僕が「僕」や小津や明石さん、なむなむちゃんに惹かれ過ぎているだけなのだろうか。何処か、彼の描くそうじゃない京都の世界には、あまり共感を持つことができない。

ところどころで「あ、もしかして」って思ってしまう他作品との繋がりは面白かった。最後の「四畳半の王様?」のくだりは、一番好きなところでもある。彼が自分の世界から外の世界へ向かう描写は美しいと思う、まるで四畳半神話体系の最後を見ているみたいだった。

結局はそこに尽きるのだと思う。良かったけれど、それは他作品との関係性があってのこと。他の作品を読んでいるから楽しめるし、それに、この書籍を読むなら、他の森見作品を進めると思う。そこが、物足りなさを感じさせるものになるのだろう。
(tabasco 2011年04月23日) from Amazon Review

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