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表題作「ガンジョリ」のことを、作者は巻末「自分でやる作品解説」で「正調ホラー」と書いてるけど、他方で「東北版『悪魔のいけにえ』」とも呼んでいて、「正調」ってそーゆー意味なんでしょうね。 私なんか「正調」って言われると、やっぱり神の秩序が信じられている世界があって、フランケンシュタイン博士みたいな人がその秩序を侵犯したりして、結局は破滅する、みたいな物語をイメージします。「ガンジョリ」や「観音哀歌」にも「人間を超える何か」は登場しますが、主人公たちはその「何か」への畏怖を抱いていない。正義とか悪とか天誅とか救済とか贖罪とかが物語の柱となっておらず、ひたすらワケ分からん状況に対する恐怖や驚きやドタバタに焦点が当てられる。だから「モダンホラー」なんでしょうね。 で、神が死んじゃった世界におけるホラーを追求すれば、やっぱり人間が一番怖いって話になるワケで、『みんなサイボー』(「みんなサイボーグ」?)なんかはそうでしょう。崩壊家庭で静かに精神を病んでいく少年の妄想って言っちゃうと、身も蓋もないですけど…それにしても、周囲の人間が変貌していく姿は、ホントに生理的に耐え難いまでにオゾマシイです。こういうオゾマシイ絵が描ける作者は、主人公の少年と同様に、こういうオゾマシサを知っているのでしょうね。 思えば『ネ暗トピア』での「バカヤロ様ですよー!」(でしたっけ?)という、「バカヤロ」に「様」をつけてしまう(東北的な?)屈折は、容貌怪異な登場人物ばかりを描き続けた作者の屈折でもあったでしょうし、その怪異でオゾマシイ登場人物たちをそのまま愛らしい動物に描き変えただけの『ぼのぼの』にも通底していました。そして、そういう“複雑屈折”した世界に生きる主人公の孤独というか孤立というかは、実はホラーそのものだったのかもしれません。
(モワノンプリュ 2008年09月20日) from Amazon Review
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