日本の仏教のルーツは、最澄や空海と言っても過言ではないかと思います。
この二人について書かれた書物も沢山ありますが、一番有名なのは司馬遼太郎の「空海の風景」ではないでしょうか。
この本は、空海という人間に迫ることを主題にしており、汗臭い人間空海がよく描かれています。天才空海と凡人の域を出なかった最澄がどういう人間だったかがよく分かる作品です。
且つ、古(いにしえ)の人間に迫ろうとした司馬の凄さを改めて実感するすばらしい作品だと思います。

しかし、「密教とは」「その思想とは」という点においては不完全燃焼に終わります。

空海の有名な言葉で
「虚空尽き、衆生尽き、涅槃尽きなば、我願いも尽きなん」
(この世も人々も悟りも全て無くなった時に我願いも尽きるだろう。しかしこれらが尽きることはないので我願いも尽きない)
という言葉があり、56億年後の弥勒菩薩ともに復活すると言い残し入眠していきました。
こういう空海に魅力を感じ、もっと空海を知りたい、空海の思想や密教に触れてこそ本当の空海を知ることができる、そう思いこの本を読みました。

この本は、司馬の「空海の風景」で空海の思想や密教についてもっと深く知りたいと思った方が読めばいい本だと思います。
そうでない方が読んでも退屈な本です。非常に読みづらい本だからです。
「空海の思想について」と合わせて読むのがいいと思います。
(t-hayata 2005年01月10日) from Amazon Review

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