前の巻で厳しい評価をした私ですが、この巻では、ここ数巻での流れを立ちきり「主人公を中心にした話」にリセットしなおした、という点を評価しても良いと考え、高い評価にしました。ずっと「一体この漫画の主人公は誰だ?物語はどこに向かってるのか?」と感じた ここ最近の巻での迷走状態を、この巻で変えているからです。

私も他の皆さん同様、西野の言動にあれこれ腹が立ったりしましたが「架空のキャラに腹が立つ」と言うことは、それだけ「物語に引き込まれている」と言う証明でもあります。

他のレビューなどを概観していますと、西野のエキセントリックな言動に非難が集まっていますが、そもそも物語というのは道徳の本ではありませんから、イヤな人、間違った考えを持つ人、幼稚な人、悪党など、様々な役割の人が必要になります。したがって西野がそういう「やや幼稚で言動のおかしい人」という「役割」のキャラだからといっても「物語そのものの評価を低くする理由」には なり得ないと思われます。

さらに、もともと石川氏の描く女性キャラは、「行動的だが理屈屋で暴力的、時にヒステリックで感情的」という傾向があると思います。ただ、純潔のマリアや 長谷川などが、ヒステリーや暴走を起こしたときであっても、その理由が、理解や共感が可能だったのに比べると、西野がどうしてあんな行動に帰結したのか飛躍しすぎていて良くわからない(なぜああいうことをしなければならなかったのか共感できない)部分や、西野の「怒りの着火点」がちょくちょく理解不明だったりと、確かに読者置いてけぼりな部分も散見されますが。他の方のブーイングの理由の核もその辺りにありそうな気がします。

その辺りの解明や、西野というキャラの掘り下げも、今後の流れに期待し、ひとまず高評価にしてみた次第です。
(せんたろう 2013年06月11日) from Amazon Review

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