「めぞん一刻」で主人公の男がソープランドに行ったとほのめかされるシーンがあり、読者から批判的な反応が多かった、というエピソードがある。要は、作者の高橋留美子はヒロインと対等な「大人の男」になるのに、そういう経験が必要だと考えたわけだが、同じようなことを本作でも狙っているのかなと思った。(久我山は「汚れた大人」になるルートか、「魔法使い」になるルートか、どっちだか)

 「脱オタ」について語るなら、オタクについて定義しないといけないわけだが、初代のころ(2000年代前半)と現代では、ファッションの面では「ギャル(ギャル男)」がいなくなって(恵子の変化!)、ジャストサイズの服を着るのが良しとされて、オタクと非オタクの違いというのが薄れてきたり、ライト化が進むなど状況も変わってきたが、内面的な部分ではそう変わらないのかなと個人的には思う。特にライトオタクではなくコアなオタクについては。
 結局、オタク向けコンテンツの消費に生活のエネルギーの大部分を注ぎ、妄想し、理論武装し、現実世界への適応を重視しない、ということの結果が「オタクっぽい」という周囲の印象や軋轢、恵まれない異性関係なわけだが(久我山「彼女なんかできるわけねえし一生童貞のつもりだったさ」)(卵が先か鶏が先か、という話でもある)、「ハーレム」状況ではあれ、斑目は「オタク」活動よりも現実の人間相手の問題に自問自答する比率が大きくなってきている。

 「…バカだねぇ 多少趣味じゃなくても チャンスあるなら一回つき合ってみればいいのに」

 という13巻の咲の言葉があるが、現実の恋愛では完璧に理想で、自分が好意を持った相手とくっつく、というケースばかりでもない。でもそんな妥協の恋愛をラブコメで見せられても興覚めなわけで、好意を向けられるうちにこっちも意識しだして、というのが王道なのだが、はてさて。女装した腐男子のホモセクシャルな恋心、というのがイマイチ自分にはピンと来ない。他3人もよくわからない。... 続きを読む
(Amazon Customer 2014年12月22日) from Amazon Review

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