この一冊は全体を通じてETU再生、改革の予感に満ちています。これからETUが上位に食い込んでいくためにどのように戦っていくのか、大きなステップアップを予感させる一冊となっていて、読む者まで試合前からの緊張感が伝わってきます。達海と不破の監督同士のやりとりなど、ホイッスルが鳴るまでの実際の空気感を非常によく書いている。キックオフが近づくにつれてサポーターのざわめきが大きくなり、ピッチ全体が試合への興奮を高めていく。そんなシーンを見て実際にスタジアムに足を運んだ時のぴりぴりとした肌感覚と胸のざわつきを思い出しました。ツジトモさんのこういう描写は本当にすごい。

この一冊の完成度は言うまでもなく高く、好機と逆境と展開の波が落ち着かないのは今までと同じなのですが、できれば読む前に前巻、第30巻を読んだ方がいいかもしれません。30巻で選手の中に芽生えた熱が試合前から漂う緊張感の中に感じる事ができ、飄々と振る舞う達見は一貫して変わらないものの、選手達の目に焼き付いた彼の姿、彼の言葉をもう一度読み直していると試合への感情がより昂ります。記者達はその理由を分かっていないけれど、何かが違っている気配、何かが変わったという予感をピッチに立つ選手達の雰囲気に感じています。強豪グランパレス、ブラジルトリオに監督の不破さん、どのような試合展開になるのか、読む者を飽きさせません。

Pakkaの親指のシーンはつい先日J2で中指問題が大きく取り上げられていただけに面白かったけれども大丈夫なのかな? 一ページ目のETUの対戦成績にある札幌の敗北具合はコンサファンの僕としては非常に(現実として)複雑な気分でしたがそれは偏ったの視点ですね。でも、いくつものチームがあって、いくつものサポーターがいるのは事実であり、GIANT KILLINGではそういった事情もきちんと書かれています。ETU側の視点が主軸になっているため、不破さんの悪人面もより悪そうに見えてしまいますが、彼のプロフェッショナルな一面を知れるのもこのマンガの良いところ。チームの勝利のためなら憎まれ役を買っても良いという不破さん。良いキャラしてますよね。
いくつものチーム事情を知った上で、試合を読む事が出来る、さまざまな人間の葛藤、キャラクターがこのマンガを盛り上げています。... 続きを読む
(a. 2014年04月24日) from Amazon Review

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