60巻ではこれまで目的がいまいち分からなかった異三郎の過去がついに明らかになります・・・これまで敵なのか味方なのか分からなかった彼でしたが、この巻を読むともはや彼を責めることはできなくなってしまいそうです。

かつての異三郎は名門中の名門のエリートではありましたが、そこまで堅苦しい人間ではありませんでした。方向性は違っても片栗虎との関係も良好でしたし何より真選組の結成を提案したのも異三郎でした。自分たちの手を汚さずに「荒くれ者を荒くれ物で潰せる」という選民思想の発想からきたものでしたが、他の名門武士達と違い最初から使い捨てるという発想でもなく、成果が出るなら実力も認めるべきと意外にもエリートにありがちな硬直した発想とは無縁でした。更に当時の異三郎は携帯電話には疎く、出産間近の妻から渡されて一生懸命メールを打ち片栗虎に茶化されては大慌てをするという愛嬌のあるキャラでもありました。初登場以来、真選組や片栗虎とは冷え切った関係しか描かれていなかっただけに、過去の異三郎と今の異三郎の違いにはとても驚かされるものがあります。

そんな異三郎の全てを変えてしまったのがあの徳川定々でした。定々は権力を争う喜々の暗殺計画を発動し、その自作自演の暗殺を防げず責任をとる役目を真選組に押し付けることとします。その命令を受けた異三郎は定々の計画を攘夷志士に対してわざと情報漏洩を行い、暗殺計画そのものを破綻させることで真選組を救いました。ですが異三郎の心中は定々だけでなく天導衆にも知られていました。元々暗殺計画が成功すれば真実を知る異三郎は真選組同様に責任を押し付けられる予定だったのです。更に裏切ったということもあり、報復と見せしめのため異三郎の妻と生まれてくるはずであった子供は天導衆によって殺されてしまいます・・... 続きを読む
(コーヒータイム 2015年08月05日) from Amazon Review

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