今ではすっかりお馴染みのジャンルになったFPSも2007年当時と比べれば環境は随分と違います。マルチプレイ非搭載、DLCなし、という次世代ゲームが”らしくない”時代の末期に開発されたゲームだけあってストーリーは重厚なシリアスさを上手く表現しています。諸問題が重なり今では狂気と暴力が横行するかつての理想の楽園、人工海底都市ラプチャーに偶然迷い込んだ主人公が謎の生存者の手がかりを元に探索していくことになります。
ステージは海底都市であるため基本的に閉鎖された部屋と通路で接続された空間だけになります。ミッションは要求された課題を達成する順番が自由である程度で基本的に一本道、すべての課題をクリアすると次のステージへ移動になります。システムはDead IslandのようなRPG性をベースにしていて何十と存在する追加能力を少女Little Sisterから得たポイントに消費して獲得します。炎や氷といった攻撃から監視カメラハック、防御力アップといったものまで厳選して所持することができ、ステージの各所にある自販機のような機械で交換・整理が行えます。FPSと言ってもWolfensteinのように魔法攻撃で相手をひるませ、鈍器・重火器で攻撃が基本スタイルなので純粋なシューターを期待するべきではないでしょう。水の表現がとにかく綺麗で60年代の広告・ネオン管と廃墟と化したラプチャーのジメジメ感が良く伝わってきます。音楽もどことなくホラーっぽさが表現されていて、朽ちたゴーストタウンの美しさのような雰囲気が素晴らしい。中盤のあるステージでチャイコフスキーの「花のワルツ」と共に敵がワラワラと湧いてくる時にこの作品の芸術性は頂点に達します。
しかしシングルプレイのみのゲームとして、消費者のハードルは高くなるかもしれません。オートセーブがステージ開始のみの代わりに無限リスポーンする主人公、敵に与えたダメージはそのまま保持されるので回復薬を使うよりレンチでぼこ殴り→復活を繰り返していけばある程度ゴリ押しで進めてしまいます。そしてエンディングのあっけなさ、スタッフロールもなしの後日談ナレーション数分で足早にタイトル画面へ、特にアンロックされるモードもなく、リプレイ性はほとんどありません。... 続きを読む
(NxHero 2013年01月31日) from Amazon Review

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