前巻から引き続き、牡羊座シオン編の後編にしてLC黄金聖闘士の外伝の最終エピソードになります。若干ネタバレ(?)もありますのでご注意ください。

前巻では時の神カイロスとの闘いがクライマックスに達したところで終わっていましたので、続きがとても待ち遠しく感じました。
本編の読者の方はご存じのことでしょうが、カイロスは後の聖戦において双子座アスプロスと激しい闘いを繰り広げることになるので、ここで敗れるはずはなく、しかも半神半人とはいえ曲がりなりにも「神」を相手に、対するはまだ黄金聖闘士になりたてのシオンとくれば、どうやってカイロスを退けるのか?また、物語をどのように締めくくるのかと、購入前は(連載を読んでいませんので)興味は尽きませんでしたが、読後の感想としてはうまく話をまとめてあると感じました。

また、物語の中でシオンがカイロスに向けて語る「教皇」の存在意義は、教皇という存在が単に「膨大な知識を備える者」でも、ましてや「(権)力の象徴」でもないことを示しています。原作、LC等で度々教皇の座をめぐるエピソードが描かれますが、本巻でシオンの語る教皇像は、教皇という存在の本質の一面を表しているのだと思います。

物語の結末については、多少ネタバレになるかもですが、読む前は表紙のイラストを見て「シオンが教皇になって物語を締めくくる」と思っていたのですが、本巻ではそれだけにとどまらない締めくくり方をしています。シオン編を含む外伝のみならず、本編も含めたラストエピソードとなっています。

一方で、物語が世に出た時間軸が逆だから仕方がない側面はあるのですが、手代木版ではシオンは(ペガサスの)神聖衣の存在を知っていたのに、車田原作では星矢たちに神聖衣のことを伝えていないことに対する整合性が吸収しきれていない部分は個人的にはいささかもやもやしたものが残りました。好意的に解釈すれば、原作でシオンが星矢たちの聖衣にアテナの血を付けたのは、単に聖衣を修復するためだけではなく、神聖衣の存在を知っていればこそ神聖衣への覚醒を促す意図があった、と取れなくもないですが。... 続きを読む
(通りすがり 2015年12月08日) from Amazon Review

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