本作は、海外で論争が起きたタイトルです。論争の原因は、ゲーム内で語られる白人至上主義の宗教や強烈な人種差別、アメリカ例外主義について反発したものだったのでしょう。確かに、アメリカのゲーム開発会社イラショナル・ゲームズのクリエイターは、かなり確信犯的にアメリカ人の白人至上主義を糾弾しています。

息を呑む美しいグラフィックとは裏腹に、プレイヤーは、理想郷の陰で行われている人種差別を何度も目にすることになります。
例えば、ゲーム序盤の事件。OPから少し進めると、プレイヤーは空中都市コロンビアの建国記念祭に出くわします。壇上には白人の司会者。彼が紹介するのは、白人男性と黒人女性のカップルです。司会者は、黒人女性に恋をした白人男性のことを「ジャングルの猿」と同類だと嘲弄しているのです。やがて、プレイヤーは彼らに硬球をぶつけるよう強制されます。しかし、プレイヤーは選択できます。そのカップルか、差別主義者の白人司会者か。そのどちらかに硬球をぶつけることができるのです。どちらを選んだにせよ、ゲームは進行します。また、一見するとテーマパークのような美しい街並みのコロンビアなのですが、じっくり、くまなく細部を見てみると、洒落た洋服を着て自由を謳歌しているのは、白人ばかりだと気づきます。黒人たちで構成されている労働者や有色人種は、使用人や雑役夫といった立場に追いやられています。黒人労働者は白人の顧客に対して「旦那様」「奥様」と呼ぶことを強制されており、街中には堂々と差別的なポスターが貼られているのです。そう、この街は白人の理想郷であるが、有色人種にとっては暗黒郷。このような人種差別が公然とまかり通っているのが、空中都市コロンビアなのです。
ちなみに、アメリカ南北戦争、リンカーン暗殺事件、アメリカ陸軍第七騎兵連隊、カスター将軍、ウンデッド・ニーの虐殺、ピンカートン探偵社、義和団事件などの予備知識があることで、人種差別を糾弾する物語だと気づくことができるはずです。もちろん、ボーイミーツガールのお話としても楽しめます。
youtubeにある「Girls Just Wanna Have Bioshock Infinite」... 続きを読む
(Retro-Future 2015年08月29日) from Amazon Review

この口コミ&評価は参考になりましたか?はい いいえ
179人中、101人の方が「この口コミ&評価が参考になった」と投稿しています。