男女関係について語る自己啓発系の本とかで割と良く見るのが「女と男は実は異星人くらい違うんだぜ」という言葉であるが、その異星人ほどに違う男女の差異をネタにしつつも、やっぱり恋愛を軸にしていくのがろびこさん作のこの少女マンガ『僕と君の大切な話』である。
 俺は男だけれど少女マンガとかよく読むし、『となりの怪物くん』は文句なしの傑作だった。だからろびこさんの新作ということで読まない手はないという感じだったのだが、漫画雑誌デザートで一話を読んだ限りではちょっと会話が思春期だなぁ……って感じで恥ずかしく、連載を追うのはやめた経緯がある。
 しかしまとめて読むとなかなか面白かった。
 男が読んでみると、ヒロインの方の心理描写は「なるほどなぁ」って感じ。特に納得したのは帯にも書いてある「大事なのは共感してあげること」で、これだけで大体女子の人間関係における行動原理の基礎が表現されているように気がする。
 会話というのは人間にとって最も基本的なコミュニケーション方法だけれど、男はどちらかと言うと自分の感じたことを語りたがる生き物なのではないだろうか。しかし女子というのは個というよりは群体であるという属性を重視し、だから相手が語ることについて「自分はこう思う」と反対気味の意見の提示をするよりも、「あなたはそういうことを感じたんだ。わかるわかる」と共感や持ち上げ気味の意見を入れてフォローする傾向があるのだろう。まあ、女子の方が平和だよね。それゆえのしがらみも大きいのかもしれないが。ということを感じた。
 ただ若干ツッコミたくなったのは、ヒーローの方がやっぱり少女マンガ的なヤローであることであり、いや、別にそれが悪いと言っているのでは断じてないんだけれど、男からすると「こんなヤツいねぇよ」と感じてしまうのがまた面白かったw

 前作との比較について一点。
 少女マンガの人気作といえば『アオハライド』が一番のように思うのだが、あの作者の咲坂さんも新作では『個性を持ったヒロイン』『陰を持ったヒーロー』という特別な世界を切り取った『アオハライド』から、より庶民的で一歩踏み出せない、ダブルヒロインを扱った『思い、思われ、ふり、ふられ』の連載に移った。... 続きを読む
(天田龍太郎 2016年03月13日) from Amazon Review

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