中多紗江編は二人が最初に出逢った約一年後の秋から冬にかけてのおはなし。
橘兄妹によって人見知りを克服すると瞬く間に校内の人気者と化し、
絢辻詞の跡を継いで創設祭実行委員長まで上り詰めた中多紗江の成長ぶりに
うれしく思いつつも、うれしいのだけれど少し複雑に思っている純一の様子が
うまく描かれています。
中多紗江編は前作『アマガミSS』(第9話〜第12話;Blu-ray/DVD第5巻〜第6巻収録)同様、
ナレーション以外すべてのキャラクターがボケにまわっていたり、
メタフィクション的な描写はそのままであるものの、
前作のようなコメディコメディした珍奇な展開は良い意味で少なくなっています。
中多紗江編でも絢辻詞は生徒会長になっていますが、
サポート役(黒幕?)に徹しているところや、ベストカップルコンテストが
昨年の優勝者である森島はるか・塚原ひびきと梅原の影響により、
トロ子、黒にゃんこといったコスプレコンテストになりつつあるなどといった、
小ネタの回収&バタフライエフェクトの部分もしっかりと描かれています。
あと、券売機にある食堂のメニューが、一般の高校のそれを凌駕しています。
是非一時停止でご確認を。それにわんこがカワイイです。
ゲームの「スキBEST」後日談を髣髴とさせる八年後のふたりを描いたエンディングでは、
まだ幼い長女の声色が「はかせ」や「小神あきら」ではなく、
似て非なる「中多紗江の娘」にちゃんとなっているのには思わず感嘆しました。
二人目か……。
また、Blu-ray/DVD限定のエクストラ・エピソードは、前編アバンタイトルの
『冬眠前のクマさんは……』が、どんな映像作品に仕上がったのかが
分かる仕組みになっています。なるほど、こういう繋げ方をしたわけですね。